新卒で入社して3年以内に辞めるのが「根性なし」ではない理由




すでに死ぬほど語られている「新卒で会社に入って3年以内に辞めるのは是か非か」議論ですが、僕の考えも書いておこうと思いまして記事にすることにしました。

先に結論から言うと、3年は続けろという考え方は時代遅れです。ブラック企業ではないという前提の上で、1年くらいやってみて合わないと感じたならば転職をするなり独立するなりするのが良いと思います。とは言っても、同じ会社で働き続けるべきか辞めるべきかという話は、個人ごとの資質・目標・周りの環境など多くの要因を考えながら決めていくべきことなので、一括りに言うことは出来ません。

ここで言いたいのは、3年という数字にあまり意味はないということです。僕の経験を踏まつつ、なぜ1年くらい様子を見るべきかを紹介していきたいと思います。

目次

最初の1年目はつらいが、乗り越えると仕事に没頭出来る人は多い

実体験をお話すると、一番つらかったのは1年目でした。特に4月から10月までの半年ですね。仕事の進め方・会社の事業・どの人が何をしているか、など覚えるべきことが多すぎてパンクしていました。環境に慣れるのも大変ですしね。仕事を面白いと思えないという時期が続きました。

しかし、それは今思うと必要な時期だったと思っています。将棋は駒の動かし方やルールを覚えないと全く楽しむことが出来ないように、仕事についても思考のルールやフレームワークを身につけることが必要になってきます。

このルールやフレームワークがまだついていない新人の時期だと、何をするにしてもゼロから自分の頭で考えないといけないので頭に負担がかかります。しかし半年〜1年ほどすると、思考のルール化やフレームワーク化によって考える際の負担が減るので、ある程度楽になります。

思考のフレームワークが出来ると「今の仕事は価値を生み出せているか?」「どうすればより良い仕事ができるか」といった本質的な問いに対して思考力を注ぐことが出来るので、仕事を自分でコントロールしている感覚を得ることが出来ます。

周りの人を見ていても1年目は悩んでいる人が多いですが、仕事に慣れて自分で仕事をコントロール出来るようになってくると仕事に没頭している人も増えてきます。

そのため、残業代が出ないとか、パワハラがひどくいつも詰められるとか、そういったブラック環境でないのであれば、「とりあえず1年は続けてみる」のが良いのではないかと言うのが僕の持論です。

昔の3年と今の3年は全く別物である

大雑把に言ってしまうと、昔の3年=今の1年という感覚で間違っていないはずです。今はIT化が進み、情報をだれでも簡単に入手することが可能になりました。昔は3年かけてインプットしたような内容を、今はより短い期間でインプット出来るようになったのです。

経験からしか得られないものがあるのは確かに事実です。しかし、社会人の基礎力となる仕事の進め方やスタンスは共通の部分が多く、より早く知り、より早く実践できるか否かが大切な所になってきます。

特にいまの20代は小さいときからモバイル端末やパソコンに触れて育ったデジタルネイティブ世代なので、情報を処理する力は鍛えられており、得た情報をうまく活用することで昔よりも早く成長することが出来ます。

ビジネスモデルが固定化されていてIT化が進んでいない一昔前であれば、じっくりと腰を据えて少しずつ下積みから学んでいっても良かったかもしれませんが、今はそういう時代ではありません。そこで僕は、「とりあえず3年」ではなく「とりあえず1年」をオススメしているのです。

人間の直感は優れているので、違和感があったら3年以内でも環境を変えるべき

もしある程度仕事を自分で進められるようになったにも関わらず、心に引っかかりがあるならば環境を変えてみることを検討するべきです。会社の雰囲気に合わないとか、仕事を続けても先が見えないとか、そういった直感はほぼ確実に当たっているからです。

何かとロジックで考えることが求められる社会ですが、動物的本能として備わっている直感は非常に優秀です。「これは面白いんじゃないかな」とか「これは自分に向いていそう」といった直感は絶対にロジックで殺さず、直感に従って選択することが非常に大切です。

やったことが無いことに対して偏見を持たず積極的にやっていくことは、自分の視点を広げるためにも超重要なので、とりあえずやってみて直感的に向かないなと思ったら別のものをやってみる、というスタンスがベストではないかと思います。

そういった視点でも、特に20代はトライアンドエラーを繰り返すことが、中長期的に見ていい結果を生むと思うのです。

環境(周りの人、社風、経営理念など)は超大事

自分が充実したワークライフやキャリアを送れるかどうかは、環境が超大事です。割合を大雑把に言うと、環境と仕事への取り組み方が50%ずつくらいでしょうか。環境が整っており、かつコミットメントが高い状態でいるかは気にしたほうが良いでしょう。

「環境のせいにするな!」と言う輩がいますが、環境は間違いなく仕事へのコミットメントに影響します。毎日怒鳴られて、ろくな睡眠時間も取れずに思考力を奪われた人が、自分の仕事をより良くしようと思えるでしょうか。

周りの人や社風との相性、経営理念を自分ごととして捉えられるかは、とても大切なのです。しかし、いずれも転職したり独立をするなど環境を変えることでしか実現が難しいです。社風や経営理念を変えるには、膨大な努力と時間が必要なのです。簡単に組織は変わりません。そこに力を注ぐのであれば、自分にマッチする会社や組織に転職してしまえばいいのです。

繰り返しになりますが、どのような人と付き合うか、どんな組織で働くかということは超大事です。いまの時代では西洋化によって「個人」という僕らひとりひとりが独立したものであるという人間観がありますが、人間は周りの人のつながりから相当な影響を受けています。

3年という貴重な時間を無駄にしないためにも、尊敬できる人がいたり自分が心地よいと思える環境、そして没頭できる仕事が出来る環境を本気で探すということは、充実なワークライフを送るためにとても大切になってきます。

根性(笑)という議論はもうやめろ

また、すぐに会社を辞めるのは根性がないという意見があるようですが時代遅れも甚だしいかと思います。確かにフォードとエジソンによって花開いた工業化社会では、均一化された工程による大量生産が社会を豊かにしていくと考えられてきた。そのため、工場のラインの稼働時間を2倍にすれば成果物も2倍になり、根性がある(=”肉体的に”きつい仕事にも耐えられる)労働者は重宝されてきました。

しかし、今の時代はどうでしょうか。すでにモノは余っている状態で、均一化された商品を2倍生産したとしても2倍売れるわけではなく余ってしまいます。今の時代に求められているのは、存在しない商品を生み出すことなのです。

存在しない商品を生み出すためには、多様な意見を言える風土を養成することや、柔軟な発想が出来る環境が大事になってきます。ここから言えることは、社風や理念とミスマッチしているのに勤務し続けても、会社にとっても労働者にとっても得をしないということです。根性だけの労働者は価値を生み出しません。

ストレスがかかる環境では、思考力が低下し視野が狭くなってしまうので、ミスマッチした労働者を抱えている会社も損してしまいますし、労働者にとっても自分の能力を発揮できず宝の持ち腐れになってしまいます。

もはや、「長く勤める=根性がある」という世界観は全時代的なものであり、いまはひとりひとりが価値を発揮できる場所をなるべく早く見つけられるようなプラットフォームが求められていると思います。

まとめ

ここまで読み進めていただき、ありがとうございました。長くなってしまいましたので、最後に要点をまとめたいと思います。

  • 1年目はつらいけど、ブラックでなければ仕事の進め方などの基礎をがんばって身につけたほうが良い
  • 1年がんばっても社風などの環境に違和感があるのであれば、動いたほうが良い(転職や独立の検討など)
  • 今の1年で学ぶべきことは、昔の3年で学ぶことにほぼ匹敵する
  • 直感を大事にしながら判断せよ
  • 環境はとても大事
  • 根性論は捨てよう