変化が激しい今の世の中において、若きエンジニアはどのような働き方をしていけばいいのでしょうか。この記事では、今後のエンジニアに求められる資質や、それを身につけるための方法論について紹介していきます。
結論から言えば、ビジネスの上流(課題定義や、課題解決のためのプロトタイプ設計)が出来ないエンジニアは、今後需要が減っていくでしょうというものです。指示書に従ってプログラムを書くだけのエンジニアは今後用済みになっていくよ、という内容が主になっています。
目次
未来のエンジニアに求められる資質は0から1をつくる力
そもそも、0から1とは?
ビジネスを立ち上げてから、大きく成長するまでのプロセスを3つに分けることがあります。そのうちのひとつが「0から1」です。
0から1
自らの問題意識に基づいて課題を定義し、その課題を解決するためのビジネスを生み出すフェーズ
1から10
生み出したビジネスの質やマネタイズモデルを磨きながら、市場にアウトプットして軌道に乗せていくフェーズ
10から100
ある程度軌道に乗ったビジネスを、さらにスケール(規模拡大)させていくフェーズ
何故エンジニアに0から1が求められるのか
世の中の動きとしてオープンソース化というものが進んでいます。エンジニアの方には常識かもしれませんが、オープンソース化というのは誰かが開発したり改良したプログラムをインターネット上に公開することでみんなで便利なソフトウェアを作っていこうとする思想です。
オープンソース化によって何が起こるかというと、便利なものは次々とプラットフォーム化されたサービスになり、誰でも作れるようになっていくのです。例えばひと昔前だとウェブサーバを立ち上げるには難しいコマンド一つひとつを手作業で入力しなければいけませんでしたが、今はAWSやレンタルサーバーでクリックをするだけでサーバーを立ち上げることができます。
つまり一昔前コード書けるプログラマーというのはそれなりに大切にされてきましたが、そもそもコード書かなくてもウェブサイトを立ち上げる時代になってきているので、徐々にコードをかけるだけのプログラマーの価値が落ちてきています。
特に昨今では機械学習技術を始めとしたAIの性能が非常に上がってきており、テクノロジーやプラットフォームによって実現できない人間唯一のスキルというものが求められ始めています。その一つが0から1を生み出すというフェーズです。
社会において何を解決したいか、何を課題とするかというものは人間からしか出てこないものです。AIは与えられた課題を解くことは得意ですが、そもそも課題が何かを定義することが苦手なのです。
具体的に0から1とはどういう能力か
では0から1を生み出す能力とはどのようなものなのでしょうか。0から1を生み出す能力は、落合陽一さんが述べているリサーチ・プロトタイプ・マーケットという3つの要素に分解できそうです。
リサーチ
先人が行ってきた研究結果などを調べることで、
- 現時点まで何がなされてきたのか
- 今何が課題になっているのか
- 自分が行うべきことは何か
などを定義すること。このフェーズでは、論文を読む力(英語力や国語力)、世の中のトレンドを掴む情報収集能力が重要になってきます。自分自身を棚卸しして、自分が何をやりたいのかを明確にすることも大切ですね。当事者意識がわかないものを行うほど苦痛なことはないので、自分がコミットメント高く関われるのはどのような分野かを把握しておくことは大切です。
プロトタイプ
リサーチで定めた課題を解決するためのプロダクトを考案し、実際にプロトタイプを作成してみること。このフェーズで大切になってくるのは、うまく相手に意図が伝わるように発信したり、相手の意見を汲み取るコミュニケーション能力です。また、様々な角度から解決手段を考えることが求められるので、好奇心を持っているということも大切になってくるでしょう。
マーケット
プロトタイプがうまく機能して課題解決につながりそうであれば、マーケットに広く浸透するように商品開発やビジネス開発を進めていくこと。このフェーズで大切になってくるのはビジネスモデルを設計する力やビジネス周りの知識が主です。 また、すでにプラットフォーム化されたサービス、例えば AWSやAzure などをうまく活用していく力もエンジニアには求められるでしょう。
引用:note「魔法の世紀を迎えるための助走 前編(落合陽一『魔法使いの研究室』)」
つまり言いたいことは「事業の上流にコミットせよ」
一昔前では、ウェブサイトをつくるにはコードを書く力が必須でした。しかし現在はレンタルサーバーでクリックだけでサーバーを立ち上げることが出来るし、Wordpressを利用する際にもコーディングを一切行わない環境が整ってきました。
ITの世界は限界費用がほぼゼロのため、一度型化をすると誰でも簡単に操作を行うことが出来ます。それに対比してコードを書く力の価値は徐々に落ちていきます。この先のAI時代でも価値が下がらない能力というのは、AIには出来ない「何を課題をするか」を決めていくことであったり、情熱によって人をモチベートさせることなどが上げられます。
これからのテクノロジー時代では、新しいビジネスがすぐに生まれてすぐに消えていくということが繰り返されるでしょう。そういった時代に重宝されるのは、その場その場で必要とされているビジネスを生み出す力であると確信しています。
言われてつくるだけではなく、完成したプロダクトが世の中に本当に役立つのか?ビジネス的にうまくいくのか?といった視点を常に持ち続け、発信・提案していくことは、エンジニア自身の価値を上げていくことになるでしょう。