組織に属さない働き方は一般的になっていく

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今回の記事は「働き方」についての記事です。日本では組織に属して働く人が多数派であり、他の先進国においてもそれは同じです。(※アメリカなどの特殊な例を除く)

しかし、会社員が「普通の人生」と言われてきた日本においても、組織に属さない働き方が一般的になりはじめています。ここ数年でフリーランスという言葉を耳にするようになったのも、組織に属する以外の選択肢を取る人が増えたからだと言えるでしょう。

これからは、組織で働きたい人は組織で働き、独立したい人は独立する。その選択肢のどちらも選びやすくなる世の中にになっていくと思います。では、それは何故でしょうか?

組織が個人よりも優れている点

そもそも組織をつくり働くことが標準になっているのは何故でしょうか。それは、組織として活動することで「収益力」「信用力」「多様性」という点で強みが生まれるからです。

「収益力」について

日本において高度経済成長期は経済が上昇し続けて、国内の需要も十分にあったので、大量生産すればするほど利益が増え続けました。いわゆる工業化社会(規格化した商品を工業で大量生産するモデル)の恩恵をもろに受けていた時期になります。

そのため、より利益を上げるには従業員を増やして生産規模を拡大することがベターでした

バブル期には、新卒採用で内定を出した学生をハワイ旅行に連れていき、内定辞退を防がせたり就活を続けさせないようなこともしていたと言います。

このような時代では、わざわざリスクを取って新しいことを始めなくても、会社に入って教えられたことをそのまま実行することのほうが合理的でそれが機能していたのです。

従業員は自動的に給料が上がっていき、経営者はスケールメリットを活かして利益が増えていくのでWin-Winの関係になっていたのです。

「信用力」について

また、会社と個人では信用面で大きな差があります。

例えばウェブサイトの制作をお願いするとして、大手のウェブ会社とフリーランスで料金が同じだったとしましょう。成果物の質は同じ程度だとしたら、どちらに頼みますか?この場合だと、ほとんどの方は大手に頼むのではないでしょうか。

その理由は、以下のような仮説によるものではないでしょうか。

  • 途中で仕事を投げ出すことはないだろう
  • 多くの従業員がいるので、幅広いノウハウがありそう
  • 住所や電話番号を登記する必要があるので信用できる

組織は従業員が一人や二人辞めようとも活動を続けていくので、実績とノウハウが溜まっていきますし、仕事を投げ出して逃げることができません。

組織の場合はさまざまなステークホルダー(=関係者)が存在するので、個人に比べるとバックレたり適当な対応をするリスクが非常に高いのです。

「多様性」について

人間は多様であり、それぞれ得意・苦手なことがあります。そこで、多様な人を集めてそれぞれ得意なことを行うことで、組織に多様性が生まれ、お互いの強みを活かし合うことができます。

人とコミュニケーションを取るのが上手い人が営業を行い、論理的思考に強い人がエンジニアを行い、細かい書類確認が得意な人が事務仕事を行う…といったように「得意」を活かし合うことで、1+1が2以上になることもあるのです。

世の中で求められるスキルは急速に変化していく時代なので、多様なスキルがあるほうが生存率も伸びていくというメリットもあります。

今後は「個人」が強くなっていく理由

AIの普及

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いま話題になっているAIについてです。ここでは機械学習を行い、人間の判断を超えた統計的最適解をアウトプットしてくれるものをAIを指しています。まず、AIは人間がやっている定型的業務を代行してくれるので、今ほど事業やプロジェクトに必要な人数がいらなくなります。

人間に求められるのは、人の困り事を発見(= 課題を定義)し、解決する方法を生み出す力です。事業をつくる力と言い換えることも出来るでしょう。課題を定義して解決する方法を生み出すことは、クリエイティブで複雑なプロセスなので、現状のAIでは難しいのです。

世の中の不(=不満、不安、不便)を発見し、様々なアイディアを出しながら解決策を探していく過程においては幅広い知見や経験が大切になってくるのですが、業界を超えた幅広い知見を会社や組織が得るのは難しいです。

そこで、コラボをするという発想が生まれます。例えば、食×自動車の領域ではUberEats、金融×ITの領域ではPaypalなどのFinTechサービスが生まれています。

まだAIが浸透していない今でさえ、複数の領域をコラボさせることで世の中の課題を解決していくことが重要となってきています。

繰り返しになりますが、博報堂が車を作ったり、銀行になったりすることはあまり考えられません。何故なら、組織にはブランドイメージがあったり、ノウハウが無いなどの理由で自身の強みが活かせない領域にチャレンジすることが出来ないからです。

そこで、多くの領域に知見がある個人が非常に大切になってきます。個人レベルで見ていくと、様々な会社を転職して経験を積んだひとは珍しくありません。

他の会社のカルチャーや業界の流れを知っている人が重宝されるように、業界や国を超えてさまざまなチャレンジを行った「個人」が強みを発揮できるような世の中になっていきます。

実際、トップクラスのデザイナーである佐藤可士和さんなどは、慶應義塾大学・多摩美術大学で教授をしながら、楽天のCDO(Chief Design Officer)やセブンイレブンのブランディングなど、多様な領域で活躍されています。

5G技術の普及

スマートフォン

通信環境の進化も今後の働き方を考える上で大切になってきます。日本が2020年までに実用化させる次世代移動通信5Gは、現在の4Gの100倍ほどの早さだと言われています。

いったい実用化されると何が起こるか。例えば、Skype・Hangout・Slackなどを利用したウェブ会議は、ラグが少なくなり使い勝手が良くなるでしょう。

現状だと、従業員同士の雑談がコミュニケーションが組織へのエンゲージメントを生んでいたり、チャットを行うコミュニケーションコストが意外に大きいですが、技術の進化によって業務連絡ならばネットで十分となるのも近いでしょう。

そのような意識になれば、ワーカーを日本国内に限定する必要もなくなってきます。実際、エンジニア業務の一部をインドやフィリピンに委託するということも増えてきています。

変化が激しい現代において、「流動性が低い組織」は変化に対応できないというリスクを帯びることになります。そのため、会社組織という形態は残り続けると思いますが、組織とその外部を隔てる膜はより薄くなっていくことでしょう。

人と組織の関係性は「所属」というより「参加」に近くなり、組織という膜が薄くなるので、「どこに所属している人か」ではなく「何ができる人か」という視点で評価される時代になっていくのです。

ライフスタイルの多様化

ライフスタイルのイメージ

また、個人のライフスタイルも、ますます多様化していくことでしょう。既に、われわれはTwitterではひとりごとに違うタイムラインを見ているし、Youtubeでも個人にチューニングされた動画を見ているでしょう。みんなで同じテレビ番組を見ていた時代は終わりつつあります。

それに伴い、理想とするライフスタイルを提案する人がより増えていくと思うのです。

例えば、AIと3Dプリンターが普及すると、個人が注文したオーダーに応じて、個別に商品を生産していくことが可能になります。AIがプロダクト設計や商品選択を行い、3Dプリンターが制作するという流れです。ニュースのキュレーションアプリに表示される内容も、今後はデータの蓄積でよりパーソナライズされてくるでしょう。

そうすると、僕たちは“自分がどのようなライフスタイルを送りたいか”をみずから考えて、それにあった商品をAIに発注するようになります。

もはやマスメディアが大きなトレンドを作り出すのは難しい時代に突入しており、各人が自分にあった小さなトレンドを追いかける時代です。

だからこそ、「個人」として好きなことを追求し、それがライフスタイルとなっている人が重宝されていくようになります。

おわりに

大企業に就職すれば人生安泰というロールモデルに洗脳されてきた僕らには、ライフスタイルのモデルが圧倒的に不足しています。

スローライフ(お金を使わずに生活する)的な幸せや、逆に好きなことを仕事にしてひたすら働き続けることで幸せを感じるといった個人個人に最適なライフスタイルが多様にあるはずです。

組織で働きたい人は、組織で働く。1人で働きたい人は1人で働く。そんなことが実現できる社会はもう近くに来ています。




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