【使ってみた】ライカと国産カメラは何が違うのか?




ライカといえばカメラ好きなら知らない人はいないほどの老舗メーカーです。現在のカメラの原型を作ったとも言われています。ライカのレンジファインダーが優秀すぎて日本のメーカーがこりゃ敵わんと開発を諦め、一眼レフ開発に切り替えたことで今のように見事花が開いたエピソードは有名かと思います。

ただ、Leicaは大量生産でないこともあり「あの値段の差はどのような部分にあらわれているのか?なぜ高いのか?」という点がなかなか周知されにくいのではないかと思います。

もちろん「手作り工程が多いから」ということはありますが、ユーザー目線で高いお金を払って買うことにメリットがあるのか?というのが、購入時に分かりづらくてモヤモヤしていたんですよね。

そこで、今回は実際に買って使っている中で感じたライカと国産カメラの違いということで記事にしてみました。

目次

僕のカメラ歴

僕が初めてカメラを買ったのが、2013年頃でNikonのD5000という機種でした。2009年発売なので現在(2020年)からすると10年以上前のカメラになりますね。しかも中古で買ったのでズームレンズキットつけても5万円いかないくらいでした。

そのカメラを持って世界中を旅行して写真を撮っていたりしたのですが、流石に一眼レフは重くて普段の持ち運びがしにくいので、新しいカメラとしてLeicaQ2を購入しました。

もちろんカメラとしての性能に愕然たる差があったのですが、それは僕が国産品の中でも特に安い価格帯のカメラ(中古で5万円しないような)を使っていたから当たり前だと思っていたんですよね。流石に5万円と70万円以上のカメラでは格が違って当然だろうと。

しかし、先日カメラショップに行って色々な国産カメラをいじっていて、やはりライカと明らかに違う点がありました。なので、今回記事にまとめてみようと思った次第です。

M型以外はライカと認めない人もいるかもしれませんが、その点はご了承ください。レンジファインダーが云々は語れませんが、ライカ製品に共通することについて述べられているはずです。

ライカのカメラは非機能面が圧倒的に優れている

僕はニコンのD5000とLeicaQ2とiPhoneのカメラしか使ったことがないので、正直なところボケの階調とか色彩の階調とか細かい違いはよくわかりません。写真を二枚見せられて、どっちがライカでどっちが国産メーカーの写真か?と聞かれてもわからないかもしれないです。

もちろんプロの方が見ると違うでしょう。それは他の方のブログを見ると感じます。いかにライカが素晴らしいかを書いている記事がたくさんありますからね。

ただ僕は使っている中でライカが優れているのは、機能面よりむしろ非機能面のほうが大きいのではないかと思ったのです。そのため、この記事では収差がどうとか色調がどうといった機能面の話はあまり触れないことにします

非機能面にフォーカスして紹介できればと思います。それでは以下、箇条書きしていきます。

素材へのこだわり

某カメラ店では、国産のカメラ数種類を試してみることにしました。

そのときに感じたのが「何か安っぽい…」という感覚です。金額としては10万円以上するカメラです。では、なぜそう感じたのかというと、ボディーでもレンズでもプラスチックが多く使われていたからです。

LeicaQ2の場合だと、レンズもボディーもマグネシウム合金、つまり金属でできていますので触るとひんやりしますし金属特有の重みがあります。

この素材という観点について、僕はLeicaQ2を使っている中で意識していなかったのでビックリです。表面が金属になっているという点は、実はカメラを触ったときのワクワク感に大きく貢献していたのです。

もちろん、70万円以上のカメラと10万円ちょっとのカメラを比べて違いが出てくるのは当然ですが、国産メーカーの場合はフラグシップ機でもプラスチックが割と使われている印象です。レンズフードとかも。この素材へのこだわりという点がまず一つ大きな違いかなと思いました。

ボタンやフォーカスリングの操作に対するフィードバック

また、言語化が難しいのですがボタンを押したときに指に返ってくる感触や、レンズのフォーカスリング・F値の設定リングを回転させたときの感触も全く異なりました。

ボタンについて言うと、某国産メーカーのカメラはゲーム機のボタンを押しているような感覚、押し込みが深くカチッ!と軽い音が返ってくる感じがしました。一方でライカのカメラのボタンは、金属でできているので押し込みがとても浅く、音がしません。この辺りも異なります。

リングについてですが、国産メーカーの場合はリングが軽い力で回るように感じました。それとF値の設定リング回したときのカチカチッ…という音がプラスチックっぽい。つまり重厚感がやや少ない印象です。

ボタンの数が少ない

ライカのカメラは基本的にボタンが少ないです。LeicaQの次世代機であるLeicaQ2になったときも、背面のボタンが5つから3つに減ったくらいライカのカメラはシンプルイズベストの思想で作られています。アップグレードでボタンがむしろ減ったんですね。

一方で国産のカメラはボタンが多いので、それはそれでメカ好きにはコックピットのように美しく感じるのかもしれませんが、シンプルに美しさを感じるタイプだと少し減点ポイントになってしまうかも知れません。ここは正直好みの問題だと思いますが。。。

ロゴが控えめ、そしてカメラが小さい(Leica SLなど例外もあります)

ライカのカメラに付くロゴは賛否両論ありますが、国産メーカーに比べるとロゴマークが小さく控えめです。

ライカのQ型やM型はスナップショットを撮るためのカメラなので、なるべく目立たないという思想でつくられています。そのため、ロゴマークは小さめに付け、ロゴ自体いらないよ!という人にはライカQ-PやライカM10-Pといったロゴマークがついていない機種も発売されているほどです。

一方で国産カメラはというと…黒いボディに白く大きい文字でNIKONとかCanonとか書いてあって、あまりかっこ良いとは思いません。なんでお金を払って企業の広告塔にならなければいけないのかと思って使っていました。これはカバンや家電などカメラ以外についても僕が個人的に思っていることです。

そして、ライカはスナップショットに最適化してつくられているのでフルサイズでもコンパクトです。これは本当に嬉しいポイントで、少なくとも持っているだけだと街中であまり注目されません。(さすがに構えてると見られますが)

ちなみに、LeicaQ2の場合はシャッター音がほとんどしません。一眼レフではないので、ミラーが跳ね上がる音がしないんですね。

ライカに対する批判的な意見は機能面しか見えていないような気がする

上述の通りライカは特に非機能的な面で優れており、販売価格を抑えるために、スペックに載らない部分をコストカットをしている国産メーカーのカメラとは異なります。個人的には国産メーカーのファインダー周りのゴムの安っぽさとかも気になります。

(※これはターゲットにしているマーケットが異なるというだけで、どちらが優れているという話ではありません。低価格で高画質が撮れるカメラを追究するというのも素晴らしい企業努力だと思います)

さて、果たしてライカには本当に値段相応の価値があるのか?という点は多くの人が関心を寄せる部分かと思いますが、どうなんでしょうか。僕はあると感じています。でも他の人にとってはどうでしょう?そもそも製品の価値というのは、

・機能的な価値

・非機能的な価値

に大きく分かれます。機能的な価値とは、良い画質で写真を撮る能力のことですね。いわゆるカタログにスペックとして載る部分です。非球面レンズがどうとか、ISOがどうとか。

この機能的な価値というのは言語化しやすく、また数値で出るものが多いので他製品と比較がしやすいです。そのため、カメラに限った話ではなく、電化製品全体に言えるのですが、製品の価値を評価するときに機能的な価値しか見れない人というのが、僕の周り含めてかなり多いように思います。

残念ながら、日本の携帯電話メーカーがiPhoneに惨敗したのは同じくこれが原因と言われています。

機能的な価値しか見ていないときに言う言葉が「その製品でしか出来ないことって何?」です。例えば「Macでしか出来ないことって無いよね?」といったことは、良くMacユーザとWindowsユーザの議論の種になりがちです。

もちろん、何が出来るかというのは重要なんですが、それ以上にiPhoneはヒューマンインターフェースが優れていました。それは、ユーザが行った操作に対して適切なフィードバックを与え、自分が正しく操作できたという確信をもたせるといったハード以外のソフトの部分です。

iPhoneよりも高画質な写真が撮れて、ハイスペックだからゲームがサクサクできて…そういった魅力も大事ですが、それを覆すほどにiPhoneはインターフェースがよく設計されていたということです。

さらに、ヒューマンインターフェースの視点から言えば「できる」と「やる」は違います。その製品が機能豊富であったとしても、実際に使われなければ無いのと同じです。だから、純粋に機能だけで製品の価値を評価することは出来ないのです。

ライカの魅力はここまで述べてきたとおり、操作していてワクワクするという点が大きいように思います。これは恐らく、上述した非機能面の設計が効いています。きっと機能面でもライカは優れているんだと思います。でも、非機能面については素人でもその違いが分かるくらい異なりました。

ライカというブランドを持つことによる喜びも多いでしょう。ライカが高いのはただのロゴ使用料でしょ?という意見もあるようです。ただ、そのために何十万円も払うことは、お金が余っている人でなければできません。

高画質な写真が撮れる数百万円の世界最高峰のカメラを買ったとしても、持ち運ばなければただの文鎮です。せっかく買って普段スマホのカメラを使っているのだったら、スマホのほうが価値が高いということになりますね。

操作したくなるカメラか?持ち運びたくなるカメラか?ライカはそのような体験設計自体が優れているし、値段が高い分妥協をせずに作ることが出来るという点が、他のメーカとは異なる強みであるように思うのです。