会社や上司の本当の姿は退職時の態度や反応に現れる




多くの人にとって、退職を決めた後の周りの反応はとても気になると思います。例えば、わからないことを誰かに聞こうにも、「何で辞めるやつに教えなきゃいけないんだ」と思われそうで萎縮してしまいますし、自分が辞めることによって誰かの業務が増えてしまうので、優しい人ならば申し訳ない気持ちもあるでしょう。

そんな気まずい「退職が決まった後」ですが、この期間というのは会社や上司、あるいは同僚の真の姿が見えてくるタイミングでもあると思います。僕も一回会社を辞めていますので、その際のエピソードを紹介できればと思います。

目次

僕は新卒で入った会社を1年で辞めた

僕は新卒で入社した会社を1年で退職しました。正確には、新卒という表現は間違っているかもしれません。僕は大学を卒業してから2年間バックパッカー兼フリーターをやっていたので、既卒で入社したというのが正しいのでしょう。

既卒といえば、新卒に比べて就職のハードルが高いと言われているし実際そうでした。ぶっちゃけ企業はあまり変わった人を取りたくないというのがあります。例えば、既卒を採用してその人が活躍しなかったり、すぐに辞めたら「何で既卒を採用したんだ、ほらダメだったじゃないか」と人事部の人は経営者からお叱りを受けるわけです。

そういったリスクを承知で採用してくれたにも関わらず、1年で辞めるというのはとても心苦しく申し訳ない気持ちでいっぱいでしたが、海外で暮らしてみたいという夢を叶えたくなり退職することにしたんです。最終的に帰国することになりましたが、当時は現地での就職も夢見ていました。

会社に関して言うと、

  • ほぼ定時で毎日帰れていた
  • 年間休日は126日ある
  • 有給も自由に使える
  • 周りの人が優しい
  • 自由に発言できる風土

などなど、世間から見てもホワイトな環境だったので、会社が嫌になって退職したわけではありません。なるべく早いうちに自分の欲望に素直に行動しようと思っただけでした。30代以降になると、いろいろと動きにくいと言いますしね。

そんなこんなで、退職したのは4月末。退職を上司に伝えたのは1月でした。その後、周りの反応がどう変わったかというと…まあ何も変わりませんでした

マネージャークラス以上が退職を知っている時期

退職を伝えてからしばらくは、課長職以上の人が僕の退職を知っている状態でした。まだ全社に知られてはいません。特に前と変わったこともなく、いつもどおり業務をこなしていくことができました。前の上司からは個人的に飲みに誘っていただき、海外で暮らしたいことを全て話すなどはしましたね。

前の上司はとても優しい人で(今もだけど)、僕の決断と行動を喜んでくれたのが印象的でした。自分で決断を出してやってみたいことをやろうとしたことにとても喜んでくれたのは、なんだかとてもむず痒い気持ちでした。自分は本当にいい人に恵まれたんと思いながらも、入社1年で会社を辞めてしまう罪悪感もありました。

自分が他人に迷惑をかけてしまったときに、「どうしてくれるんだ!」と怒られるよりも、優しくされる方がつらいというのはあながち間違いではなさそうだとこの時思いました。怒ってくれたほうが楽になる、というのはきっとあるのだろうなと。

全社に僕の退職が知らされた後

さすがに、全社に情報がオープンされたときは、同期から「寂しくなるじゃん!」といった言葉をもらうなどしたものの、全くネガティブな態度を取られることはありませんでした。それどころか、「海外留学でも行くの?がんばってねー!」と声をかけていただくこともあったほど。

声をかけていただくことはあったものの、だからといって冷たい態度を取られるといったことが無いのが、とてもうれしく思いました。

退職1ヶ月前から退職まで

僕は4月末に退職をすることになっていました。そして4月に入って任された仕事がなんと…新人研修の手伝い(笑)。普通は辞めていく人に新人研修を任せないと思うんですよね。だって、辞めてく人は会社に不満を持ってる確率が高いわけで。新人に変なことを吹き込まれたら嫌じゃないですか。「この会社やばいぞ」とか。

純粋に人手が足りなかったという可能性もありますが、僕はこの時期になって確信しはじめました。この会社は性善説によって動いているということを。その後も、役員の方にコンサートに連れて行ってもらったり、退職日にセレモニー(送別会)を開いてもらったりと、とても嬉しい毎日でした。

もしかしたらこの記事を読んでいる方は、これまで温和だった会社の人が、退職が決まってから冷たくなったといったエピソードを期待していたかもしれませんが、すみません。みんな優しい人のままでした。

そんな僕が今何をしているかというと

海外から帰ってきて、アレですね。出戻りしています。

転職エージェントを使って転職活動をしてみたものの、最終的には前の会社が一番良いということで今も新卒で入った会社で働いています。

ここまで退職時に優しく見送ってもらえる会社はそこまで世の中に多くないのかもしれません。ただ、僕が実感したことは、退職マネジメントがこれからめちゃくちゃ大事になっていくだろうなということです。ここでいう退職マネジメントとは、会社が辞めていく人に対してなるべく前向きな気持ちで退職日を迎えることが出来るようにすることです。

退職した人は、その後いろいろな組織や人と関わっていきます。そういった中で、前向きな気持ちで退職した人は広告のように会社の良い評判を広げてくれるし、将来仕事につながるかもしれません。そして僕のようにまた戻ってくるかもしれません。

特に働き手が不足し、SNSの発達によって企業への好感度が売上に大きな力を持つ今の時代では、退職者に対する対応はとても大事だというのは言うまでもないでしょう。

退職マネジメントで難しいのは、辞めていく人の活躍を純粋に祈れるか、純粋に祈れるような社風があるかということであると思います。自社の利益のために退職者にいい気持ちで退職日を迎えてもらおうという打算的な行動は見抜かれますし、そもそもそれを従業員に優しい企業と言えるのかは甚だ疑問です。

退職時の周りの態度は印象に残る

タイトルに戻りますが、退職が決まった後というのは周りの反応に敏感になりますし、周りの人の真の姿が見えてきます。

いまだに日本人にとって会社は「属するもの」であって「参加する」ものではないというイメージがあるので、会社に属している人とは我慢をしながらもうまくやっていこうとしますが、辞めることが決まっている人には好かれる必要もないので、露骨に態度に出てくるのでしょう。

もし退職時の周りの反応がとてもポジティブであるのならば、その会社はとてもいい会社だと言えると思います。今後、退職者が出た時、その人に対する周りの反応を見てはいかがでしょうか。きっと会社の真の姿が見えてくるのではないかと思いますよ。