【コラム】新型コロナ時代だからこそ求められる「統計的視点」の重要性




統計的に世の中を見ることの重要性は前々から思っていましたが、新型コロナが話題になったことでより強く感じるようになりました。

これは別に、難しい統計を理解して感染者の増加シミュレーションをするとかいう話ではなく、統計的に世の中で起きている現象を見るということです。

その現象は「外れ値」ではないか?と1回疑うべきだ

どういうことかというと、メディアで誇張される「外れ値」のような現象を全体の平均のように見ないということです。

例えば、メディアでは相変わらず視聴率を稼ぐために、外出自粛をしていない人を映したり、3月に撮影した動画を5月のものとして放映するなど、ゴミのような内容を放送していました。(自粛”要請”なので法的拘束力は無く、自粛しなければいけない訳ではないという話はここでは置いておきます)

情報リテラシーがない人は、そのような内容を見るとまるで多くの人が自分勝手に出歩いていると感じて勝手に憤っているのですが、マスコミは外れ値のような炎上ネタを放送することで視聴率を稼ごうとしているわけですから、まんまと敵の術中にハマってしまうわけです。

例えば日本では北欧やスイスなどを絶賛する風潮がありますが、すべての人が高度な教育を受けて、すべての人が幸福なのかというとそうではない訳です。人口全体の平均を考えてみると日本より幸福度が高いかもしれませんが、もちろん幸福でない人もいる。

日本はまだ人口が1億人以上いますから、他国に比べると均一的な国民性ではあるものの多様性というものが存在します。世の中は多様である、ということを認識できない人はテレビに映っている人をマジョリティと考え、ストレス発散や鬱憤を発散するためにTwitterに書き込むことでこの世の地獄が具現化します。

統計的に見たときに、果たしてどうなのか?というと、僕は日本人の民度は非常に高いと考えています。僕は緊急事態宣言が解除されてから東京駅に用事があって行きましたが、1日の東京都の新規感染者数が1桁になった状況でさえ、90%以上の人がマスクをして人との距離を保っている光景を見ました。

世の中の大多数の人はなるべくルールを守っていますが、世の中は多様なのでそうではない人も存在します。むしろ、そのような多様さこそが人類や文化の存続のキーになってきた訳で、全員が全く同じ行動をしていたら全滅する可能性が増えてしまうのです。

まずは、統計的に世の中を見てみる、つまり自分が見ているのは「外れ値」のようなものではないかと一回疑うことが重要ではないかと思います。

「男女平等」のずれた議論

また、リモートワーク下では育児・家事についても話題になりました。夫婦がどちらも家にいるようになったことで、分担をどうするべきかということが活発に議論されているようです。

「夫婦で平等に家事育児を分担すべきだ」みたいな声が上がり始めていますが、これも統計的な視点でみればおかしいことに気が付きます。

実際に考えてみると、世の中の夫婦の数だけ多様性があるわけで、誰も彼もが一律に家事育児を分担すべきだというのは全く的を射ていないことが分かるでしょう。

重要なのは「選択肢が多い」ということです。つまり、従来のように「男は働いて稼ぐ、女は家を守る」という選択肢しかないことが問題なのであって、「男は働いて稼ぐ、女は家を守る」でもいいし「男は家を守る、女は働いて稼ぐ」でもいいし「男も女も仕事をしながら家事育児を半々に分担する」でもいいという状態こそがベストなのです。

またこれもよくありがちなんですが、日本人はヨーロッパに夢を見すぎていて現実を全く知らない気がします。僕はドイツで暮らしていましたが、人種による経済の格差を感じましたし、特定の仕事には特定の人種の人がついているという光景も見てきました。

また、そもそもヨーロッパでの最適解が日本においても最適解であるとは言えません。何故ならば、地政学的にも日本とヨーロッパは滅茶苦茶離れているし、大陸国家か海洋国家かでも違うし、その他文化的・宗教的側面であまりに違いすぎます。

しかし頭が悪いとそのような背景や文化的土台を考慮することができないので、「北欧では男女平等!日本も見習え!」となってしまいます。北欧で男女平等が進んでいるのは、前向きなことが原因ではありません。北欧は税金が高いので男女ともに活躍しないと生活できないという事情があるのです。

統計的にものを見るというのは、確証バイアスを抜ける上でも重要なポイントになると思っています。人間は自分が信じたいものしか見ないという傾向があるので、統計的視点がないと正のフィードバックにより自分の狭い視点で醸成された思想をより強固にしていきます。

エコーチェンバー現象と呼ばれるように、例えば右翼の人は同じ思想を持った人しかフォローしないので、まるで自分の意見が大多数側で優れているかのように感じて、ますます極端な思想化が進んでいきます。

それを取っ払うのが統計的に世の中を考えることであると思います。つまり、世の中は多様であるということを認めた上で、どのようなバランスになっているのかを考える。これからは旧来のようにマス(=多数派)を設定して施策をするのではなく、データでひとりひとりにフォーカスしていく時代です。

これから統計的思考はますます重要になっていくでしょう。