【コラム】写真を撮る意味ってなんだろう?旅人フォトグラファーが考えてみた。




これまで様々な国に行き、世界中の人がスマホのカメラで写真を撮っている光景を目にしてきました。そんな中で感じた疑問は、なぜこんなに多くの人が好んで写真を撮っているのだろうかということです。

スマホ・デジカメの普及によって写真を撮るハードルがぐんと下がったこともありますが、それは写真を”撮りやすくなった”だけであって、”写真を撮らなければいけない”わけではありません。

ビジネスの場合、写真を撮る理由はわかりやすいですね。商品の魅力を発信して世の中に広げていくためとか、適切な情報を伝えるためとか、目的があって写真を利用しています。これはデジカメが普及する以前からずっと行われていました。

では、個人が写真を撮る意味・理由とはなんでしょうか?普段写真を撮る人間として、写真が持つ役割について一度まとめておくことにしました。

目次

写真の基本的な役割とは

思い出を他の人と共有する

写真は自分が見た風景や人物を、具体的に他の人に伝えることができます。コミュニケーションの大部分を占める言語は便利ではあるものの、どうしても伝えられる情報に限界があります。

僕も絶景や美しい街並みを見たときは、「この感動を誰かに伝えたい!友達に見せたい!」と思うことが多々あります。

しかし、「山が2つほど3kmほど奥に見えて、空は7割くらいの面積を灰色の雲が覆っていて、足元は鮮やかなグリーンの芝生が・・・」と言葉で説明しても伝わる情報に限界がありますし、聞いている人によってイメージはバラバラです。

ところが写真を一瞬見せるだけで、自分が見た景色を正確に伝えることが出来ます。写真が出来る前は、絵によって自分が見た風景や人を伝えていましたね。

つまり、自分の体験を共有したい!という思いを満たしやすくなるという役割が写真にはあります。

自分が見た景色・出会った人を思い出す

また、過去に出会った景色・人を思い出せるようにするという役割もあります。僕も身をもって実感しているのですが、当時は非常に感動した景色でも、時間が経つと忘れます。人間は忘れる生き物なんです。

だから過去に撮った写真を見返して、「あれ、こんな所いったっけ?」と思うことも多々ありますし、「そういえば、こういう風景だったな〜」と当時のことをより詳細に思い出すきっかけになることもあります。

どれだけ大切な人と一緒に旅行に行ってすばらしい風景に感動したとしても、その旅の出来事は段々と記憶から消えていきます。それに抗うために、忘れたくない思い出を保存するという役割が写真にはあるんです。

自分を表現する

人間は自分を表現をすることに快感を感じる動物です。絵を描いたり・音楽を作って演奏したり・本を書いたりすることで、自分のアイデンティティをより深めていくことが出来るからです。

「表現する」というと、2つ前の「思い出を他人と共有する」と近い部分もありますが、「表現する」ことは個人で完結することも十分にありえます。

つまり、他人にどう見られるかとか・どう評価されるかといったことに関わらず、自分が納得するものを生み出すことで満足ができるということ。

自分がキレイだと思った風景を、キレイな写真に落とし込むことそのものが楽しいと感じさせてくれる役割も、写真にはあるんです。

僕が写真を撮る理由

僕は上の3つに加えて、世界中の光景を自分の視点で発信したいという理由があります。結局のところ、僕は写真を通して世界は美しいということを伝えたいんです。

毎日おなじ光景ばかり見ていると、どうしても人生そのものをつまらなく感じてしまいがち。日常に潜む美しさや、世界に色々な面白い場所があるということを忘れてしまいます。

だからこそ、様々な光景を写真に撮り発信することで、世界はまだまだ面白い場所がたくさんあることを、多くの人に知ってほしいと考えています。

結局のところ、写真を撮る意味というのは

  • 他人に伝えること(で、何かアクションをしてもらうこと)
  • 自分を表現すること

の2つに集約できる。それが僕の持論です。