【コラム】リモートワークのメリット・デメリットについて




ここ数年で浸透しはじめているリモートワーク(オフィス以外で仕事をすること)ですが、果たしてどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか?

僕が勤めている会社では、現在リモートワーク制度があるわけではありませんが、ネットワーク環境の整備やフィジビリなどリモートワークの導入に向けて動いています。実際リモートワークをやってみたときに、メリット・デメリットがあることが分かりました。

そこでこの記事では、リモートワークのメリット・デメリットについて記事にまとめることにしました。

目次

リモートワークのメリット

働く人にとって

通勤時間がゼロになる

リモートワークが可能になると、自宅で仕事をすることが可能になるため通勤時間がゼロになります。時間的に無駄がなくなるだけではなく、あの忌まわしき通勤電車に乗る必要が無くなるのでストレスが溜まらなくなります

恐らく、リモートワークで働く人にとっての最大のメリットはここにあるのではないかと思います。僕も実際に試してみて、通勤無しで仕事できる快適さを実感しました。わざわざ駅で電車を待つ必要もないし、狭い車内に詰め込まれることもないし、うるさい街中を歩く必要もありません。

家族の病気や介護などに対応しやすい

子供が病気になってしまったり、介護をしなければならないとき、これまでは会社を休むしか選択肢がありませんでした。しかし、リモートワークが可能になるとリビングで子供や親の様子を見ながら仕事をすることが可能になります。

そうすると、細切れの時間を活用して仕事が出来ます。特に働くパパ・ママにとってリモートワークは便利だろうと思いました。

今後、高齢化が進んでくると介護施設のキャパがオーバーしてなかなか入居できない場合も出てくるでしょう。自分が介護をしなければいけない、という状況はかなりででくるでしょうから、リモートワークの普及は社会全体で見ても大事かと思います。

生活する場所の選択肢が増える

通勤の必要が無いと住む場所の選択肢が増えます。極論を言えば、ドイツやタイに住みながら仕事をすることも出来ます。(時差などは考えなければいけませんが)

例えば、子供を田舎で育てたいと思う親は多いようです。現状、東京に住んでいるとどうしても東京付近に住まなければいけませんが、リモートワークによって物理的な距離が無くなると、長野に住みながら東京の会社で働くことも可能になるわけです。

実際、シリコンバレーでは禅が流行っているため、京都に移住してリモートで仕事をしているエンジニアが多くなってきています。彼らは、京都で禅の修行をしながらもリモートワークによってシリコンバレーで働いているのです。そういった物理的な壁を超えることが出来るのも、リモートワークのメリットです。

自分にとって最適な環境で仕事ができる

会社にもよりますが、職場には多くの人がいるため騒々しい職場も多いようです。エンジニアやデザイナーのように、一人で集中して考え事をする時間が長い職業の人にとって、静かに集中できる環境は大事です。

リモートワークによって仕事をする場所を自由に選べるようになると、集中したい時は自分の家で仕事をし、気分を変えたいときは近くのカフェに出向いて仕事をすると言ったワークスタイルも可能になるわけです。

会社にとって

労働力を確保しやすい

会社にとってのメリットの一つに、労働力を確保しやすいというものがあります。例えば出産や育児で仕事を辞めなければいけなくなってしまったというケースは多くありますが、リモートワークが導入されることによって、出産や育児を行う場合でも仕事を辞めなくていいという状況が生まれます。

労働力不足が叫ばれるなか、このメリットというのは会社にとってとても重要で、働きたいけれども辞めざるを得ないというような人に対して仕事をしてもらうことができるようになるのです。

オフィスの維持費用が減る

またリモートワークによって出社する社員の数が減れば、当然必要な机や椅子の数は減るし、オフィスの消耗品のスピードも遅くなります。東京に職場を構えると家賃は高いし物価も高いので経費がかさみがちですが、リモートワークによって社員が外で仕事をするようになるとオフィス維持の経費が減るのです。

社会にとって

産学連携の機会が生まれやすくなる

社会にとってのメリットの一つとして、産学連携の機会が生まれやすくなるというものがあります。近年、人生100年時代と言われていることもあり、 大学で学びなおしたいという社会人も増えてきています。そういった場合、会社に出勤する必要があると必然的に通える大学が絞られてきてしまいます。

特に理系の大学院だと、実験のため物理的に大学に行く必要があることが多く、研究におけるリモートはなかなか難しいのが現状です。そのため会社と大学の間に物理的な距離があると、大学の選択肢が限られてしまうという問題点があるのです。

しかしながらリモートワークが導入されることによって出社する必要がなくなれば、物理的な距離があったとしても行きたい大学の近くに住んで研究しながら働くことが可能になります。 これにより産学連携が進み、社会全体としての経済発展がより進んでいくことが期待できます。

地方創生にプラスの影響を及ぼす

現在、日本では東京への人口一極集中と地方の衰退が課題となっています。東京に人口が集中すれば東京は暮らしにくくなっていくし、地方では人口が少なくてもインフラを維持しなければいけないので、どうしても無駄なコストが発生してしまいます。

地方創生というのはいま大きなテーマとなっていますが、東京に人が集まる理由の一つに仕事が東京に集中しているからというものがあります。田舎には仕事がないのです。しかし、田舎に住みながら東京の仕事をできるということになれば東京に住む理由というのは薄くなり、地方に人が移っていくということも十分に考えられます。

リモートワークが進むことによって、高い東京の賃金で働きながら物価が安い地方に住む、というライフスタイルも一般的になっていくでしょう。

リモートワークのデメリット

働く人にとって

ある程度自分で仕事を進める能力が求められる

オフィスで働く場合、分からないことがあった際に誰かに気軽に聞くことができます。しかしながらリモートワークを行う場合、ある程度は自分で仕事を進めなければいけません。例えば、入ったばかりの新卒の方にとっては気軽にわからないことを聞けない状況というのはなかなか辛いものがあり、成長するスピードも遅くなってしまうリスクがあります。

そのため、ある程度スキルを持っている人や仕事に慣れた人でないとリモートワークによるデメリットが大きくなってしまう可能性があるのです

会社に対するコミットメント意識が低くなる

チャットやテレビ会議があるとは言っても、それによって交換できる情報というものはごく限られたものになってしまいます。実は人間のコミュニケーションは言語による情報交換量が少なく、実際はボディランゲージなどによる非言語的なコミュニケーションの割合が多いとされています。

リモートワークだと、普段の雑談から生まれる人と人の連帯感が生まれにくくなってしまうのが難しいところです。自分の仕事の意味であったり、自分の仕事の成果についてしっかりとフィードバックがもらえるような状況でないと、なかなかモチベーションを保つのが難しくなってしまいます。

仕事が非効率になってしまう場合もある

職場で分からないことがあって誰かに聞く場合、対面で聞くとすぐその場でレスポンスをもらうことができます。しかしながら、メールやチャットでやり取りをする場合は人によって返信するまでの速度に違いがあり、すぐにレスポンスをもらえないこともありえます。

レスポンスをすぐにもらえないことで自分の仕事が止まってしまったりすると、仕事の生産性も当然落ちてしまいます。リモートワークによって生産性を上げるためには、なるべく素早いコミュニケーションを取れるようにすることが大切であり、対面の時のレスポンスの素早さをどう担保するかがポイントになりそうです。

雑談や細かいコミュニケーションが取りにくい

上とも関係していますが、 リモートワークをする場合、電話を常時接続するわけではなくコミュニケーションの必要がある時に電話をかけたりチャットをするということになるでしょう。その場合、仕事と関係がない雑談や一瞬で済むような質問を気軽にできなくなってしまうというデメリットがあります。

雑談というのは一見無駄なように見えて、お互いの知識を交換し合う作用があり、新しいものを生み出す場合には重要になったりします。そういった機会がなくなってしまうということでリモートワークを廃止した企業もあるのです。

会社にとってのデメリット

従業員のエンゲージメントを維持しにくい

上でも書きましたが、直接顔を合わせなくなることでエンゲージメントを維持しにくくなるというデメリットがあります。職場に社員が集まるような環境であれば、社長が偶然見かけた社員に声をかけて激励することが出来ますが、リモートワークの場合は偶発的なコミュニケーションが生まれにくいため、そういった機会も生まれません。

コミュニケーション機会を意図的に作り出し、社員に期待していることや事に対するフィードバックをしっかり設計しなければ、従業員のやる気は落ちてしまいます。

リモートワークを前提にした制度づくりが必要になる

リモートワークをする場合、どのような制度で行うかということは大切です。 外で仕事をする場合だと、パソコンを紛失した時に備えてハードディスクやSSDを暗号化したり、セキュリティが担保されたネットワークを配備したり、勤怠ルールを決めておくなどの制度づくりが必要になります。

リモートワークを導入すれば、より多様な働き方をする社員が増えてくるでしょうから、それに合わせて制度を作るのはなかなかパワーがかかることです。リモートワークの場合だと、勤務時間による評価というよりも成果物による評価というものが主体になるでしょうから、その従業員一人一人の評価をどのようにしっかり行なっていくかということも考慮する必要があります。

社会にとってのデメリット

交通機関の収入や小売店・飲食店の収入が減る

外に出なくても仕事できるという環境になれば、電車やバス、タクシーに乗る人は減るし、街中で小売店で買い物をする機会も減るでしょう。この場合、自宅で仕事をすることによってEC サイトの利用が増えるかと思いますが、現在圧倒的なシェアを誇るAmazonは日本の企業ではありません。買えば買うほどシリコンバレーが潤っていきます。

人が自宅で仕事をするようになれば、街中に落ちるお金も減り、外食産業などが停滞するリスクがあります。外食は今後宅配サービスについても考慮しないと、危ないような気がしています。

通信インフラの整備が必要

多くの人がネットワークを介して仕事するようになれば、膨大な通信量に対して十分なインフラを整備する必要が出てきます。現在日本では2020年までに5Gを導入するという目標を掲げていますが、加速するニーズに対してどのように通信インフラを分配するかというのは一つ大切なポイントになっています

最後に

リモートワークを導入したものの廃止した企業というのはいくつかあります。その廃止した理由で最も多いのが、社員同士のコミュニケーションが減り、偶発的なアイデアが生まれにくくなるというものです。

これについて僕はポジティブに考えていて、5Gが普及しバーチャル空間での会議や、視覚と聴覚以外も用いたよりリアルなコミュニケーションが可能になっていくと考えているからです。

現在のテレビ会議だと、全身を映しながら会話をすることはできないし、二次元のディスプレイの先に相手がいるので、なかなかリアリティを持ってコミュニケーションを取ることができません。この問題に関しては自分自身も取り組んでいきたいと考えているし、割と改善されていくのではないかと考えています。

リモートワークについてはメリット・デメリットがあるので、例えば週に3回はリモートワークを行い週に2回は出社をすると言ったような折衷型のワークスタイルも出てくるのではないかと考えています。