ベルリンと言えば、ベルリンフィルも世界的に有名です。あの小澤征爾さんやカラヤンもベルリンフェイルで指揮棒を振っていました。日本では高価なチケットになるベルリンフィルですが、毎週火曜日の13時から無料のコンサートを行っています。
berliner-philharmoniker Lunch Concerts(公式サイト)
オーケストラのような大編成ではなく数人の室内楽がメインであるものの、世界トップクラスの演者の演奏が無料で聞けるというのは非常に嬉しい限りです。
ヨーロッパでは文化的に6月から8月にかけてほとんどコンサートが行われず、この無料コンサートも6月の第三週くらいがシーズンラストになるので、時期にはご注意ください。
目次
場所について
無料コンサートは、ベルリンフィルのホームであるベルリン・フィルハーモニーコンサートホールのロビー内で行われます。最寄りはPotsdamer Platz駅。徒歩5分くらいで到着します。
ベルリンの中でもおしゃれなエリアで、巨大ショッピングモールやSONY STOREなどの施設がたくさんあります。僕がコンサートに行った日はちょうど日本がW杯でコロンビアと試合している最中で、街中でパーブリックビューイングをしていました。
コンサートの様子
中に入って奥に進むと簡単なゲートのようなものがあります。ゲートに係員の方がいるので札のようなものを受け取ります。そしてゲートの向こう側にも係員がいるので、受け取った札を渡すのです。
何故このようなことをするかというと、入場者数を計算するためです。万一事故があった場合などのリスクを考えて1600人という上限人数を設けているらしいのです。
僕は12時20分頃に会場につきました。コンサート開始の40分前でしたが、すでにお客さんはいっぱい。みんな階段や床に座って演奏を待っています。僕も場所取りをして時間を待ちます。
人がいっぱい過ぎてみることが出来ないというほどの混雑ではないので、ご安心ください。舞台の正面には椅子が並んでいますが、ここはお年寄りや障害者が座るための席になっています。ドイツは弱者にめちゃめちゃ優しいです。
写真を見てわかるかと思いますが、ベルリンのコンサートはとってもラフ。ジーンズにサンダルにリュックサックなんていう方もたくさんいて、まさに音楽が日常に溶け込んでいる感じです。
ロビーには売店があり、飲み物を買うことが出来ます。グラスワインを飲んでいる人もいて、いかにもヨーロッパっぽい雰囲気でした。日本だと「昼からお酒!?」という感想を持たれがちですが、こっちでは普通のようです。
そもそも、遺伝子的にこっちの人はとてもお酒に強いので、グラスワイン1杯くらいで酔うことはありません。
シーズン最終日である今日は、イベリア半島(スペイン・ポルトガルなど)が発祥とされるTangoを演奏していました。ヴァイオリン、アコーディオン、ヴォーカル、コントラバス、トロンボーンの構成です。
ベルリンの良い所のひとつは、伝統を大切にしつつも新しいことへの挑戦が受け入れられる雰囲気があることではないかと思います。
そもそもTangoというのは、伝統的なクラシックで守られている和声法という理論からかなり逸脱している音楽です。禁則8度やソプラノパートのアルペジオなど、バッハやベートーベンが守ってきた伝統を逸脱する音楽。
それを、世界的なオーケストラメンバーが演奏しているというのがベルリンらしいと思いました。
数ある楽器の中でもアコーディオンが混ざると、南ヨーロッパの雰囲気が出ますね。当然ですが、どの楽器も抜群にうまかったです。ここベルリンは乾燥しており、音が響く建物の作りをしているので、本当に細かいニュアンスまで伝わってくるのです。
細かいビブラートの揺れや、微妙に変化する音の強弱など、日本では湿気に吸収されてしまいがちな音を感じることが出来るのです。
コンサートは1時間ほど行われて、最後のアンコールで締めて終了。無料とは思えないクオリティに、つい拍手が止まりません。写真撮影も動画撮影もOKですし、演奏者との距離もかなり近い。
そんなラフな雰囲気のコンサートが、僕はとても心地よかったです。
まとめ
美術館もそうですが、ここベルリンは芸術と人の距離がとても近いように思います。美術館では、彫刻や絵が保護カバー無しにそのまま飾られていたり、コンサートでは、観客と演奏者の距離が近くラフな雰囲気があったりと日本では味わえない距離感です。
ベルリンに来て、芸術に触れないのはもったいない!と思います。もしベルリンに来た際には、ぜひ毎週火曜の無料コンサートに訪れてみてはいかがでしょうか。